大野優斗の恋文

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5  「あんた、何考えてるか分かんないし」だって。岡本絵莉花に振られてしまった。   岡本絵莉花。俺が一番好きだった名前。今は聞きたくなくなった。教室で彼女の声や、彼女の噂、ニックネームでさえ聞くと気分が悪くなる。鬱になる。  とぼとぼ歩いていた俺の体力は限界に達しようとしていた。  それでも何とか家まで帰ってくることが出来た。    最後に自分に残された力を振り絞って、俺は家の玄関を開ける。  迎える母の声。  「あれ優斗早かったね、おかえり!」  「二度とその名を口にするな!」  俺は生まれて初めて母さんに怒鳴った。
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