見上げた時

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 この町では7月最後の日曜日は毎年花火大会がある。  市が開催しているくせに花火を見るための席を設け、その席のチケットを販売するというケチな側面も見せているが、屋台が出てたりして結構盛り上がるので町のほとんどの人は、家族や友人、恋人と出かけていく。この日は夕方から町のあちこちで浴衣姿の人々であふれかえる。  しかしそれは私には関係ないことだ。  私はそれに行かない。恋人なんていないし、友達とも都合はつかなかった。家族とも行く気はしなかったので、今日はお家でお留守番。  昼間はそれがいい話だと思った。家族がいなかったら家で自分の好きなように過ごせる。もともと1人は嫌いじゃない。むしろ気が楽で好きなほうだ。夜は1人、ゲームでもして過ごそうと思っていた。
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