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「ねえ、アンタ誰? 名前は? 何でここにいるの? 何でプリン買ってきてくれたの? 何であーんで食べさせてくれたの? 何で――」
「おいおい、ストップストップ! ……一度に色々聞かれても答えられねーよ!」
男はイスから立ち上がると、腰に手をあて背を思いっきりそらす。
ウ――――ンッ!
とジジ臭く唸ると、続けてフウーッと大きく息を吐き、また何事もなくイスに座った。
ベッドの背を起こして寄りかかるように座る私の右側に、この謎の男は座っている。
その距離、一メートルもないだろう。手を伸ばせば相手の顔に簡単に触れそうだ。
それほどまで近くに男は攻めてきている。――もう不法侵入で警察沙汰にしたっていいくらいだ。
――ていうか、いきなりあーん? もう、不法侵入通り越しちゃってるでしょう?
じゃあ何? 一体どんな罪でコイツをしょっぴけるの? ……って、いやいや、犯罪者だって普通しないでしょう?
急に思いだして頬が真っ赤に染まる。めっちゃ熱くなる。……俯く。目を伏せる。
「あー、俺、岸川京介(きしかわきょうすけ)。十五歳。……えーと、隣の病室のダチの見舞いにきた。……でプリン買ったんだけど、食べられないみたいで、こっちに持ってきた。……まあそんなとこだ」
何唐突に自己紹介始めてんのよ。……まあ誰って聞いたのは私だけど。
でも、へえ、そうなんだ……って、ちょっと待て、それって……?
「えっ? ……何よ、昨日の花束と同じパターンじゃない! って……えっ? 結局ついでなのに、何であんな食べさせ方してくれるのよ?」
意味がわからない。あーんだよ? あーん。……これって、普通、『意味』あるよね? ね、あるよね?
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