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そんな苛立ちから、個室なのをいいことに夜な夜な手元の雑誌を病室の壁目がけてバサッ、バサッと、投げつけている。
死にたい――でも死にたくない。
だって、まだやりたいこといっぱいあるし……彼氏とかも欲しいし彼氏とアレとかもしてみたいし、やっぱり死にたくない。
ていうか、キスだってまだしてないじゃない!
そんな乙女のロマンチズムと探求心と野心と欲望と絶望等々、よくわからないモノが色々とせめぎ合い、思春期特有のカオス状態の葛藤が続いている。
「足が動かないんじゃ、何もできないか……」
窓辺に止まる蛍を、ベッドの上に座ったまま恨めしそうに見つめて呟く。
やっぱ死んだほうがいいのかな――
結局行きつく結論は同じ。どんなに葛藤しても私が辿り着く思考の果ては『絶望』なのだ。
夜九時――消灯。
病室の明かりは見回りの看護婦に消され、暗闇に包まれる。
八月七日。――じきに今日が終わる。意味もなく一日中高校野球をつけっぱなしにしていたテレビを消す。
ハアァ……ため息。無意味な一日の終わりにはため息がふさわしい。
そもそも、自ら命を絶つ勇気など毛ほどもない。誰か……そう、誰かに、そっと苦しまずに殺してもらいたい。
苦しまずに――
誰か……誰か助けてよ……
今夜も幾筋もの涙が頬を伝い、二度と目覚めたくない眠りの淵に落ちていく。
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