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  2  翌、八月八日。  今日も朝八時から高校野球を興味もなく見ている。  午後二時。午前中に点滴と両足のマッサージが終わり、昼食も摂ったところで眠気に誘われる。  甲子園の合間のニュースによると、ここ千葉県は今日も日差しが強く、日中の最高気温は三十八度。――知るか。  こっちは病室から一歩も出られず、冷房漬けなのだ。五十度だろうが六十度だろうが、どうでもよい。そんなことよりも――  誰か、助けて。 『ガラリッ!』 「――あれっ?」  大きな黄色い花束を抱えた少年が、引き戸になっている病室のドアを勢いよく開ける。目を丸く――したのは、私のほうだ。  油断していた。個室なのをいいことに、頭の傷痕を隠すために被っているニット帽を脱いでいたのだ。 「キャッ!」  短い悲鳴を上げる。とにかく頭の傷を隠さねば。こんなの――見せられない。  慌てて帽子を被り、俯く。――早く出ていって欲しい。 「すみません、ちょっと病室間違えちゃったみたいで……」  そう言い残すと、少年は静かにドアを閉めて出ていく。怒り――が、沸々と湧き立つ。ちょっと間違えた? ……何よそれ? そんな理由で、誰にも見せたくない私の秘密、見ていったって言うの?  だが、その怒りをぶつける相手はもういない。よって、いつものアレだ。半身起こしてベッドに座る私は、手近な雑誌を病室の壁に向けて思い切り投げつける。ついでにドアに向けてフルスロー! ――その時、
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