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『ガラリッ』 「――うわぁっ! ちょ、ちょっと待った!」  何やらドアのところに立つ人影の腹の辺りに『バサッ!』と雑誌がブチあたる。 「ゴメン! って言いにきたんだけど……ダメか? 入っちゃ?」 「ダメに決まってんでしょ! ……ってか出てったそばから何でまた入ってくんのよっ?」  ……バカじゃないの? こっちはこの上なく辱しめられたのに!  だが、ドアの前に立つ人影……つまりさっきの少年は、勝手にスタスタと入ってきてしまう。  ジーンズに白いポロシャツというラフな格好の、同じくらいの年頃の少年だ。 「ちょ、ちょっと、入ってこないでよ!」 「まあまあ、いいじゃないか!」  そう屈託のない笑みを零すと、少年は勝手に壁際から丸イスを持ってきてベッドの横にスタッと座ってしまった。その右手には、さっきの大きな黄色い花束を抱えたままだ。 「悪かったな、さっきいきなりドア開けちゃって。……ダチが昨日から隣りの病室に移ったんで、それで見舞いにきたんだよ。……そしたら、間違えた」  ハハハ、悪りぃ、悪りぃ――  少年はまったく悪びれる様子もなく、ヘラヘラと笑っている。  ムカつく。  ダチ? 隣? ――知るか。
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