◇-1 週末のきみ

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春が好きだ。 光が横顔におちてきて、 毛布に包まれて、ウトウトしているような... この感覚がとても落ち着く。 やっぱり窓際の一番後ろの席っていいよなあ、 なんて思いながら外を見た。 桜は、これまでの雨と風でもうとっくに散ってしまっていて、 そのせいで道は一面ピンク色になっている。 「滝」 「大河。おはよう」 名前を呼ばれて振り向くと、たった今登校してきた様子の大河がいた。 この大河 修平(おおかわ しゅうへい)とは、去年も同じクラスで、さらに同じ陸上部に所属しているチームメイト同士。 そういう縁があって、今ではいちばん気の許せる友人だ。 「はよ......お前、本当に俺の席好きだな」 「借りてごめんな。日課になっちゃって」 「去年もだし慣れたから良いけどさあ。 ...今年も、席替えは戦争だろうな...」 遠い目をしながら大河が言う。 今は出席番号順で、「お」がつく大河がこの席だが、やっぱりいちばんいい席は人気がある。 去年も席替えでは、女子の大半がこの席になりたかったようで、“6”と書かれたクジを取り合って戦争のようになっていた。
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