幽霊アパート

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 考えた末、俺は他の住人の話も聞いてみることにした。第三者の話を聞けば、何が正解かきっと判るだろう。  他の人の話を聞く機会はすぐに訪れた。たまたま出先から帰る時、同じアパートの住人の何人かと玄関先で出会ったのだ。  そこで俺は衝撃的な話を聞いた。  なんと、俺の両隣の部屋の住人は、どちらもすでに亡くなっているというのだ。  死因はそれぞれ聞いた通りで、ちょくちょく姿を現すのもその通りだという。  まさか、どっちもとはなぁ。でもこれである意味スッキリした。これからは、可能な限りどちらとも接触しないように心がけよう。  そう思い自室に返ると、そのタイミングでスマホが鳴った。  この部屋を借りる際にお世話になった不動産会社の人で、電話に出ると、開口一番大声で謝られた。  聞けば、手違いで、取り壊し予定のアパートに俺を入居させてしまったのだという。  そう言われても、半月ばかり暮らしているが、このアパートに取り壊さなければいけないような不備は感じられなかった。だから理由を聞くと、とんでもない返事が戻って来た。  このアパートは、住人が二人ばかり事故と病気で亡くなって以来、幽霊が出ると噂になり、元々いた入居者が去ってしまったのだが、事情を知らずに新たに入居した人達は皆、亡くなった二人のみならず、本来無人のアパートで、他の大勢の居住者を見るようになったというのだ。  それで借り手がいなくなり、大家さんんの意向でここは取り壊されるということだった。  隣の中年男性と反対側のおばさんだけでなく、さっき玄関で会った人達も、みんな…幽霊?  遭遇した誰にも恐怖は感じなかったけれど、実感した瞬間どうしようもない薄気味の悪さに見舞われ、俺はその足でアパートを飛び出していた。  …後日、友達に一緒に来てもらって荷物を運び出し、不動産屋の全額保証で別のアパートに俺は引っ越した。それから間もなく、いわくつきのアパートは取り壊されたらしいが、俺は現地には足を運んでいない。  たった半月程度の生活空間だったけれど、周り中、幽霊だらけだったとんでもないアパート。  そこの住人さんや集まって来ていたあの世の方々が、今は全員成仏してくれていますように。…間違っても、顔見知りを探して今の俺のアパートに来るような真似は勘弁願いたい。 幽霊アパート…完
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