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桜の花びらが春の香りを連れてひらひらと舞う天気の良い日。
ここに来る途中にも新年度に目を輝かせた社会人や学生達と何度もすれ違った。
他人である自分も周りの素敵な表情を見て弾む胸を更にぴょんぴょん弾ませた。
下手クソなスキップで通り過ぎる人を怪訝な顔にさせるくらいには。それなのに…
それなのに!!
「どうしてですか田中さん!!!離してください!!俺は葉間松(ハママツ)高校に向かわねばならんのです!!離してください!!」
「山田だよ!…あ、…ちょ、待って待って!!落ち着いて!!」
俺は怒りと焦燥に顔を目を白黒させながら、とある建物の側で叫んでいた。
某パン工場の女性もビックリな程手足をバタバタしてみるが、俺の身体を抑える腕の力はビクともしない。なんと。
その横を通った、この学校の生徒であろう男子が、見てはいけない物を見たときの表情でそそくさと奥へ進んで行った。
お前も男か!!
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