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「あー、もう…落ち着いてよ!」
ぱこん、と箱ティッシュで頭を叩かれて、その小気味の良い音にバタつかせていた手足の力をだらんと抜いた。
「う、わっ…いきなり…えーと、落ち着いた…?」
「あ、はい…お騒がせしました…」
身体を抑える腕が解けて自由になった俺は、気まずさから頬を掻く。
「全くだ」と言いたげな目の前の男性は『受付』と書かれたプレートが乗る台に箱ティッシュを置いて、俺を見つめてくる。
少し形が歪な理由は言うまでもない。俺のせいだ。いや、被害者な俺を犯人にするのはよくない。よって山田さんのせいだ。
「で?君はどうしてここの寮を抜け出そうしてるの?学校以外の外出はちゃんと俺に許可をとって貰わないと」
わかった?と首を傾げる田中、いや、山田さんは、よく見ると爽やかなイケメンさん。くそ!!
「そうだ!おれ、葉間松高校に、行かなくちゃっ」
こんなところでもたもたしてられない!早く浜松高校へ行って手続きしなくては!
「え、ここが葉間松高校の敷地で、葉間松高校専用寮だけど」
パンナコッタ!!!!
いや、
ナンテコッタ!!!!
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