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「な、なに?」
横を向けば明らかに怒っている碓氷と目が合って肩が揺れた。
いつもの悪戯がばれた時なんて比じゃない怖さ。
動揺に瞳を揺らす俺をその切れ長の目でしっかり射抜く。
「なんで、俺たちに言わなかったんだ」
その言葉に、三人を見て、やっと気づいた。
怒りや心配。それだけじゃなかった。いやむしろ、気付いた瞬間、彼らを占めている殆どがソレだった。
三人とも、おかしなぐらい悔しがっているんだ。
「栗島…俺たちは頼りなかったか?」
「ち、ちがっ」
「よりによって最初に頼ったのがオカマチビとか…」
大友くんも、倉谷も。
きっと俺に頼って欲しかったんだ。
そんなことに、今の今まで気付けなかった。
逆の立場なら、自分も同じことを思うのに。
そう思うと今までの自分が酷く独り善がりなことに気付いて、ここが人目にはつきにくい隅の席でも、多くの生徒がいる食堂だということを忘れて泣いてしまった。
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