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それに、机の上や鞄なんかに入れられた『西澤先輩に近付くな』って言葉が、思いの外俺の心を踏みつけた。
俺のことを心配してくれる四人にも申し訳なくて、さらに涙は溢れる。
それを隠すように、碓氷の膝に突っ伏していると、ガタリ、と椅子を引く音が聞こえて、顔を上げた。
「おい倉谷、どこ行くんだ」
「…別に」
「お前まさか…」
副会長んとこ行くつもりか?
「えっ?」
碓氷の質問に、声を上げたのは俺。
倉谷はといえば、
「だったら?」
「お前、待てよ…」
当然のように肯定するから、他の三人もびっくりしてる。
それに…
「く、倉谷!だめ!」
「は?」
「いいから、お願い、大丈夫だから…」
「…そんなに知られたくない?」
「うん…」
西澤先輩がこのことを知ったら、きっと自分を責めてしまう。
ずっと一緒にいたわけじゃないけどわかる。あの人は、そういう人だ。
優しすぎる。
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