廻れ11

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それに、机の上や鞄なんかに入れられた『西澤先輩に近付くな』って言葉が、思いの外俺の心を踏みつけた。 俺のことを心配してくれる四人にも申し訳なくて、さらに涙は溢れる。 それを隠すように、碓氷の膝に突っ伏していると、ガタリ、と椅子を引く音が聞こえて、顔を上げた。 「おい倉谷、どこ行くんだ」 「…別に」 「お前まさか…」 副会長んとこ行くつもりか? 「えっ?」 碓氷の質問に、声を上げたのは俺。 倉谷はといえば、 「だったら?」 「お前、待てよ…」 当然のように肯定するから、他の三人もびっくりしてる。 それに… 「く、倉谷!だめ!」 「は?」 「いいから、お願い、大丈夫だから…」 「…そんなに知られたくない?」 「うん…」 西澤先輩がこのことを知ったら、きっと自分を責めてしまう。 ずっと一緒にいたわけじゃないけどわかる。あの人は、そういう人だ。 優しすぎる。
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