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じっと見つめ合うこと数秒。ため息を吐いた倉谷が音を立てて席に戻った。
「あーあー、那乃くんは本当にわがままだなー」
「ご、ごめんって、倉谷」
「別にー」
「那乃、箸が落ちそうになってる」
「あっほんとだ」
「はいちょっと待った!」
バン!とテーブルを叩いて立ち上がった倉谷に四人分の視線が集まる。
倉谷はそのままビシィと冬樹くんを指差した。
「お前なにサラッと距離縮めてんだよ前までフルネームで呼んでた癖に!」
「は、はぁ!?いちいち目敏いんだよ!キモ谷!」
「お前らは啀み合う事しかできないのか…」
お手上げだと首を振る大友くんに俺も苦笑い。なんで二人はこんなに仲が悪いのだろう。
あれ、喧嘩するほど仲がいいらしいから、ほんとは仲がいいのかな?
首を捻っていると、碓氷がお盆を持ってふらりと立ち上がった。
「碓氷?もう行く?」
「いや、トイレ行ってくるから先に教室戻ってろ」
「わ、わかった」
頷くと、ぽんぽんと頭を撫でてきた碓氷は他の三人もじゃあなと手を振ってテーブルを離れた。
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