廻れ1

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「嘘だ!!」 「嘘じゃないって」 ほら、と建物の壁に書いてある文字を指さす嘘つき山田さん。目線を上げるとなにやら文字が見える。はま、ま…つ…… 「そんな!」 「えぇぇ…ていうか君さっき手続きしたよね?ほら、ここに顔写真も。栗島 那乃くん。うちの学生じゃん」 確かに手続きはした。どこから出したのか、山田さんの手の中には手続きの書類。 貼られている写真は受験前に撮った俺。髪を撫でつけた表情の固い俺。なんとも平凡だ。昔隣の席の女の子に「那乃くんってなんか普通だよね」と言われたことがある。 幼心にもなんか傷付いた俺だが、その事を悔しくも否定することは出来なかった。顔も、頭脳も、能力も、彼女の言う通りなんか普通、なのだ。 と、まぁ、俺の初ハートブロークン事件のことは置いておいて、俺は今年から葉間松高校の一年生として生活するために、遠くから遙々来た。 そして今日はその記念すべき寮生活の初日である。今し方、建物に書いてある葉間松高等学校という文字も確認した。だけど、でも… 「この学校女の子が一人も居ないじゃないですか!!」 地団駄を踏む。じわりと目尻に涙が浮かぶと、山田さんがたじろぐのが見えた。
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