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「真由~、お狐さまに油揚げを供えにお願いね。あ、それと、脇の祠が壊れてるから気をつけてね」
「はーい」
わたしの日課は近くのお狐さまの社に油揚げを供えに行くこと。
階段を上がり赤い千本鳥居をくぐると空気が変わった。
油揚げをお供えして社から戻ろうとして、ガアガアとカラスの騒ぐ鳴き声に気づいて空を見上げた。
カラス?
たくさんのカラスが社の上にも下に集まってる。
その中心の境内に見えたのは白い何かだった。
カラスが群がりくちばしで突っついている。
ミャー
小さな猫だ。
今にもそのきれいな青い目玉が抉られそうだった。
見ていられなくなって、そばにあった竹ぼうきをつかんでカラスを追い払う。
なかなか逃げようとしないカラスは、子猫の背中をむんずとつかんだ。
ミャーミャーと、鳴く子猫。
このままならやられちゃう!
わたしは竹ぼうきを捨ててカラスが群がる子猫を抱き抱えた。
獲物を盗られ怒ったカラスたちは、今度は標的をわたしに変え攻撃してきた。
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