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「ただいま」広大なお屋敷の玄関を開けてはいる。
昨日まで、アパートの玄関を開けてもなにも返ってこなかったのに…。
「おかえり」
「えっ?」意外な返事に戸惑う私。
玄関で、あやめちゃんがニコニコしながら待っていてくれた。
「なんであやめちゃんが?嶋田君の家じゃ?」
「今から行くよ。」笑顔のあやめちゃん。
「でも、今日は特別。」私の手を取るあやめちゃん。私は涙を堪えるので精一杯である。
「最初はこれを言いたいじゃん。」溢れる涙を押さえられない。
「おかえり、お姉ちゃん。」
「ただいま、あやめ。」
私は新しい妹に抱きついた。
「ちょっとぉ、貴女がお姉ちゃんなのよ。妹に甘えて…。」何て言いながらも抱きしめてくれる妹。
私はようやく手に入れた。
「おかえり」のある家族を。
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