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下を見ると男の子は霧に押し潰されてもがいている。助けようとしたとき、廊下から女の子の声がした。その女の子を見て、私は固まってしまった。
「裕ちゃん。わたしをおいてけぼりにして、なに他の女の子と…。」どす黒い笑いを浮かべながら入ってきた女の子はわたしを見るなり声をつまらせて固まってしまう。
「おい?」
「嘘?」
「月島さんが二人?」
「なにかのどっきりか?」
回りがガヤガヤと騒がしくなる。当然だろう。私の前には鏡があるのかと思うくらい私にそっくりの女の子が立っているのだ。
「あ、あやめちゃん?なんで後ろから…。!?」
男の子も気がついたのだろう。薄くなっている霧を払いのけ立ち上がる。そして、私達を互いに見合わせる。
「あやめちゃんが二人?」男の子もどうしてよいのかわからないようだ。
「貴女は?」女の子が訪ねてくる。私が答えようとすると、さらに女の子は話し出した。
「あっ、私から言わなきゃ失礼よね。私は月島あやめです。」ペコリとお辞儀をする女の子。うわわわぁ、礼儀他正しい女の子…。!?月島?
「私は泉小春です。東北から引っ越してきました。」
「泉?」今度は月島さんが何か思い出そうと考えている。
「「あっ!!」」私達は声が被った。
「お父様の秘書さん?」
「お母さんの会長さん?」
私達は同時に訪ねあった。
「おっはよっ」またまた、元気な挨拶が。入り口から元気な女の子が入ってきた。
「おはよう。あかねちゃん。」月島さんが返事を返す。となるとこの子が荻窪さん…。あっ?
「あやめ、久しぶり…。ってなんであやめが二人?」
あたふたする荻窪さん。
「あの、荻窪さん、月島さんって東北小学校?」
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