1036人が本棚に入れています
本棚に追加
/451ページ
「怜治くん・・・コレ、見て。」
「・・・ん?」
差し出された携帯には、嵐のような「お父さん」の文字の羅列が・・・
あの人・・・いったい、あゆに何回電話を掛けて来たんだ?
「私・・・マナーモードにしてたの、すっかり忘れてた。」
そう言って、項垂れる彼女の頭を優しく撫でながら、後ろからそっと抱きしめる。
「お父さん・・・何て言ってた?」
「ん?ああ、今度の日曜日、みんなで食事に行こう、って。あゆにも伝えておくように言われた。」
「ごめんね、怜治くん・・・私が電話に気づいていれば、面倒をかけなくて済んだのに。」
「いいよ、べつに。どのみち、親父さんには言わなきゃいけないと思ってたから。」
「うん。」
サラサラとオレの指を通り抜ける髪が、いつになく心地良い。
「・・・あゆ。」
「・・・ん?」
「フフッ・・・何でもない。」
思わず「愛してる」って口に出しそうになったけど・・・それを言うのは、全ての難関を突破してからにしよう。
そう思いながら・・・ゆっくりと彼女の唇を塞いだ。
最初のコメントを投稿しよう!