~ プロローグ ~

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***** 3月も下旬を迎えた。 本来なら、春の訪れを感じていてもいいはずなのに、今年は一向に寒さが緩んでくれない。 まぁ、春休みだから、べつにいいんだけど・・・ オレは、さっきからずっと鳴り続けている腹の虫を鎮める為、コンビニへ向かおうと部屋のドアを開けた。 ・・・ところが 「うわッ・・・寒ッ。」 とても昼過ぎとは思えない外の空気に、思わず足を止めてしまった。 でも、買って来ないと・・・食料が何もない。 (・・・仕方ない。出掛けるとするか。) オレは、ダウンジャケットのファスナーを引っ張り上げると、急いで玄関の鍵を閉めた。 ・・・すると 「・・・ん?」 目の前に、大きなリュックを背負ったピンクの塊が目に入った。 どうやら、若い女の子らしい。 こんな寒空の下、いったい何をやってるんだろう? もしかして・・・家出、とか? 不審に思ったオレは、勇気を出して声を掛けた。
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