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「ごめんなさい。……大丈夫だから、離して」
三好くんは優しいから、突然泣き出した僕のことが放っておけなかったのだろう。
もしかしたら、僕に付き合おうって言ってくれたことも覚えてすらないのかもしれない。
……だから、優しくしてくれたらからといって期待したら駄目だ。
三好くんの腕が緩んだ隙に、逃げ出した。
僕を呼ぶ三好くんの声が聞こえたけれど、聞こえないふりをする。
何も考えずに走って走って、たどり着いたのは図書室だった。
二週間前、僕はここで彼に想いを告げたのだ。
二週間前に思いを馳せていると、ガラリと扉が開いた。
「やっと見つけた。……何が有ったんだ?」
「……何でもない。大丈夫だから」
三好くんの付き合おうっていう冗談を本気にして、勝手に傷付いたことを悟られたく無かった。
だって、それに気付かれたら嫌われてしまうだろうから。
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