32人が本棚に入れています
本棚に追加
日曜日の昼下がり。
俺は、とにかく緊張していた。
一応言っておくが、別に今から部活の試合が有るわけでも、想い人に告白するわけでもない。
ただし、先週想い人である結翔に告白した時よりも、緊張していることは確かである。
何故ならば、先週告白した相手の結翔が、ベッドに腰かけた俺の両足の間に、ちょこんと座っているからだ。
とはいえ、浮かれているのは俺だけのようで、結翔はずっとスマホをいじっている。
こういう時、俺は不安になる。
本当に両想いなのだろうか……と。
少しでもこちらを見て欲しくて、結翔の胴体に腕をまわして、壊れ物を扱うようにそっと抱き締めてみた。
結翔と触れた部分から溢れてきた切なさと幸せを、言の葉に乗せてみた。
「好きだよ」
「……知ってる。あと、邪魔」
こちらを見もせずに告げられ、胸が苦しい。
悲しくて、苦しくて、更に腕に力を込めて抱き締める。
そうすれば、細いけれどしっかりとした男の体が感じられて、俺も結翔も男だということを、無言で責められている気がした。
「結翔、好きだよ……。ごめんな……」
好きになって、ごめん……。
沈黙が痛かった。
最初のコメントを投稿しよう!