第一部・底辺を知る者

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チームに勧誘することに特に制限はないが、複数のチームに所属することは原則禁止されている。 学園側にチームメンバー加入届さえ提出すれば、翌日の試合から適用される。 提出し忘れるケースは少なくなく、一日に2度出場しそうになる生徒はいる。 アルはレナを女子寮まで送り届け、2人は解散した。 女子寮への男子の立ち入りは禁止はされてはいないが、わりと視線を浴びやすい。 1人で歩いていれば尚更見られやすい。 少し迷ってしまったが、無事部屋に辿り着く。 学園の敷地はとても広く、初等科の生徒は3か月程迷子になるという。 女性との付き合いの男子は、女子寮にすら辿り着けないという。 用がないので当然と言えば当然だが。 22時以降の外出は禁止だが、学園敷地内であれば、AM0時までは出歩くことができる。 アルは、一日の汚れを落とすべく、バスルームへと向かう。 バスルームは、男子と女子は分けられている。 男子が女子風呂へと侵入する事件は年に5回ほどあるが、全てパージナイツにより粛清されている。 風呂内にはシャワーと大浴槽があり、好きな方を使用できる。 季節により、バスルームは、色や香りが変わり、皆を楽しませている。 女子には人気が高い。 アルはシャワー派。 10分ほどで、済まして、部屋でゆっくりするのが好きである。 髪を乾かすのも、体についた水滴を拭き取るのは、魔法道具で済ます。 そろそろ気付いているかもしれないが、アルには友達がいない。 いつも一人で過ごしているのだ。 今日、初めて友達のような人が出来て、内心かなり喜んでいた。 群れるのは好きではないが、誰かが近くにいるというのはとても頼もしい。 この繋がりは大切にしていきたい。
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