〈皇帝〉

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そんなアルに近付き、背伸びをし、アルの頬に口づけをする。 またもやアルの思考は停止し、見る見るうちにトマトのように赤くなっていく。 「こ、こ、こういうことは、す、す、好きな人にしかしちゃいけないだぞう!」 動揺し過ぎて変な声が出てしまったアルを見て、レナは悪戯っ子のように笑い、舌を出す。 再び、アルを抱き締め、本当にありがとうと言って、レナは帰って行った。 女の子は怖いという知識がアルの辞書に刻まれたのであった。 アルが殺しかけてしまった三人だが、一命は取り留めたらしい。 しかし、全治3か月という重傷らしい。 校長の働きかけで、アルに詰め寄る教師はいなかったが、カーリーには何故か課題をたんまりとだされた。 それをするのと、校長に出された古代魔法についてレポートを書くために、図書館に次の日の放課後に行くつもりだ。 試合後、レナにちょっかいを出す生徒は消え、レナを嫌っていた女生徒たちもごめんと言ってきたらしい。 今日はとても疲れた。 それにアルカナの力がまさかあんな作用をするのも予想外だった。 この魔法には謎が多すぎる。 僕を支配していたのはいったいなんだったのか? まるで本当の皇帝が体に乗り移ったような感覚であった。 口調も性格も自分ではなかった。 これも詳しく知る必要があるな。 アルはそのまま眠りに落ちた。
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