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「あなたは僕を舐め過ぎた。最初から本気で僕たちを叩きのめしていたら、勝てたかもしれないのに、あなたは勝機を逃した。魔断・正拳」
アルの右拳がキャンディの胸を打つ。
ドスッという鈍い音が鳴り、バランスを崩したキャンディは落下する。
地面へと叩きつけられたキャンディ。
ゆっくりと着地するアル。
だがアルもゼェゼェと荒く息をしている、かなりの疲労感がアルに押し寄せていた。
レナの肩を借り立ち上がり、勝利を確信したのだが・・
「ま・・だ、終わり・・じゃ・・ない!!」
なんとキャンディは立ち上がった。
左腕は力無く垂れ、折れているのが確認できる。
唇も切れ、血が地面にポタ、ポタっと滴っている。
「油断したわ。でももう油断しない。試合はこれからよ」
アルを首を横に振って言う。
「もう無理ですよ、あなたの魔力は今日はもう使えない。僕の術であなたの魔力は断たれました。無理に使おうとすれば全身を激痛が襲い、魔力が暴走する恐れがあります。だから負けを認めて下さい」
恐ろしい形相で2人を睨み付けるキャンディ。
その顔に怯みはしたが、それ以上攻撃が無いと思ってしまっていたアル達にキャンディは慟哭し、魔力を右腕に集中させる。
折れているはずの左腕をも動かし、風の弓と矢を発現させる。
「私は、私は負けるわけにはいかないの!!あなたたちに学園最強の母と、ソロで5位に君臨する姉に比べられる私の気持ちがわかるの!?私はずっとずっと比べられてきた。誰も私を見てくれない、寄ってくるのは権力の欲しいクズな奴らばかり。だから負けない。私は今ここで限界を超えるわ。風の弓、風の加護を込めた祈りの一撃。嵐撃一閃!(ヴィントホーゼ)」
魔法が使えないどころか、先程よりも強力な攻撃が2人に襲い掛かる。
しかしキャンディが狙っていたのは2人ではなく、レナだけであった。
矢が被弾する前に矢に付加されていた風に吹き飛ばされる、アルもレナも宙に放り投げられ、散り散りになり地面へと叩きつけられる。
アルは受け身に失敗し、左足が折れてしまった。
レナは、風の刃に体を切り裂かれたのか、血の池を作りつつあった。
アルが助けに行こうと身を起こすと、キャンディがよろよろとした足取りで前に立つ。
「これでやっと一対一ね。お互い良い感じに負傷しているし、決着つけましょう。それに早くしないとあの子のせいで棄権負けになってしまうかもしれないしね」
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