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教師たちはまだ試合を止める気配がない。
ということはレナは致命傷を受けているわけではないということ。
だが、時間が経過すれば、レナの命の危険により棄権扱いになり負けが確定してしまう。
そうなればアルはキャンディのチームに移動することになってしまう。
短期決戦で且つ勝利は絶対条件。
「僕は君に勝たなければならない、しかも早急にだ。だから出し惜しみはしないし、君を全力で叩きのめす」
アルはアルカナの〈塔〉のカードを取り出し、発動させる。
先程は使ってすぐに発動を取り消したので、どのような魔法かは不明であった。
しかし、今は違う。
アルの体から発せられるのは雷。
〈塔〉の力は雷の魔法。
先程の瞬間移動は雷の力を使った移動だ。
「もうあなたは、僕に攻撃は当てられない。雷迅一閃(ライトニング)」
アルの姿が消えキャンディは会場内の壁に叩きつけられていた。
痛みによる衝撃のあまり意識が飛びかけるが、ギリギリのところで意識を保つ。
視認することさえ叶わなかった。
早いという次元ではない、完全に目の前から消えたのだ。
しかも体が痺れて上手く立ち上がることが出来ない。
アルは先程とほぼ変わらない位置で、片膝をつき今にも倒れそうな様子であった。
〈塔〉による雷魔法の副作用は、体力の激しい浪費と魔力量の激しい消費。
今のアルでは使用できるのは10秒ほど。
それ以上使おうとすると、間違いなく暴走するか途中で魔法が途切れるかだ。
「あなたの強さは分かったわ。魔力をまとめるのも難しい今の私に貴方に勝つ術はないかもしれない。でも、私は全力であなたとぶつかりたいと思った。私の全身全霊であなたを倒すわ!疾風竜刃(ドラゴニックゲイル)」
風の刃を創り出し、アルの方向へと全力で打ち出す。
風の刃は竜の形となり、アルに大きい口を開け向かって来る。
アルはがたの来ている体に鞭を打ち、再び雷を纏う。
さらに、もう一枚のカード〈愚者〉を取り出す。
「アルカナ展開、〈愚者〉。人の魔法を真似るのはセンスがないとは思う。でも僕は違う、真似するだけでなくもう一段階上に行く。疾風竜迅雷(トゥルエノタルナード)」
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