天翔姫

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アルもまた風の刃を創り出し、キャンディに向け放つ。 キャンディと同じく風の刃は竜の形を成し、さらに雷を宿し、向かっていく。 2つの魔法が衝突し、暴風が2人を吹き飛ばす。 先にキャンディが撃った風の矢よりも攻撃力が高いのか、2人はドゴォンという音を立てて、壁へと叩きつけられる。 口から血を吐き出し、地面に倒れ込むアル。 キャンディにはアルの放った魔法が己の魔法を消し飛ばし、威力を若干弱め突き進んでいく。 このまま直撃すれば命が危ういと判断した教師側の助けが入った。 キャンディの前に立ち、プロテクションといい、魔法壁を張り、アルの攻撃を防ぐ。 予想以上に攻撃力に押された教師だったが何とか踏み止まり、キャンディの介抱に向かう。 勝敗はアルらの勝利。 あのままアルの攻撃が当たっていたらと考慮されそのような結果となった。 説明が遅くなったが、〈愚者〉の能力は、相手の魔法の模倣。 全く同じような魔法をその場限りで繰り出すことが出来る。 三人とも重傷を負い。すぐに医務室へと運ばれ、治療を受けることに。 レナは切り傷が深く、出血多量及び全身打撲。 アルは魔力が底を尽き、全身打撲及び肋骨、肩甲骨などの骨折、全身の筋線維の断裂などなど数えきれない程の怪我を負った。 キャンディも同じような傷を受けていた。 一番最初に退院したのはレナ。 アルとキャンディは重傷で、2週間は退院できないそう。 その間は試合に出れないが、こういった場合は無効試合とされ順位の変動はなし。 2週間後 アルは普段通りの生活を取り戻した。 見舞いはレナしか来なかったが、他に来るような友達もいない。 レナが見舞いに来た時にデートの約束を取り付けたこと以外変わったことはなかった。 退院後、キャンディに呼び出され、勝負の結果について話し合うことに。 「この間はお疲れ様。勝負は私の惜敗、あなたたちの勝ち。あなたにはもう関わらないと約束する、これでいいかしら?」 「そのことなんだけど、僕だけじゃあレナちゃんを守り切ることが出来ないと入院中に考えてたんだ。だからさ、僕のチームに入ってよ」 突然の提案に驚きを隠せないレナとキャンディ。 「アル君!?聞いてないんだけど!?こんな自分勝手な人、チームに入れたら何しでかすかわからないよ、私は反対だからね!」 そりゃあいいイメージはないだろう。 勝手に引き抜くとか言っていた相手だ、信用もくそもない。 だが、戦力としては申し分ない。 アルと対等に渡り合い、アルの魔断術の力も払いのけ、ポテンシャルの高さを示した。 さらに学園最強の魔導士とソロで5位に君臨している姉と血が繋がっている。 最強の遺伝子を受け継いでいるのだ、化ける可能性は十二分にある。 キャンディからしたら断わる理由はない、元々同じチームであればいいわけなのだから。
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