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後半の授業が始まる前の休憩時間にアルはカーリーに呼び出され、別の授業に移動するようにと命じられる。
授業態度が悪いといった理由ではなく、古代魔法を扱う生徒はこの授業を受けるようにと、学園側が提案しているらしい。
先も述べたが、古代魔法の使用者は普通の魔法は扱えない。
これを聞いていたレナとキャンディが明らかに不満な表情を浮かべているが、アルにはどうすることも出来ない。
アルはカーリーに連れられて、別の教室へと移動する。
その教室には30人ほどの学生が既にいた。
カーリー曰く、古代魔法を使う人もいるが、古代魔法の歴史について学ぶ生徒も混じっているらしい。
初等科の生徒はアルを含めて4人いるらしい。
中等科に2人、上等科には3人いるという。
授業を受け持っている教師は、今はまだいないようだ。
アルが空いている席に着くと、タイミングよく講師が入ってくる。
何と講師は校長であるダージリンであった。
アルと目が合うと、口角少し上に上げたように見えた。
あの人は何を考えているのかよく分からない。
「諸君、今日から私がこの授業を担当することになった校長ことダージリンだ。以後お見知りおきを。早速だが古代魔法を扱える少数の君たち、君たちには自分の魔法を紹介してもらいたいんだよね。まぁ私は既に把握しているのだが、古代魔法を学びたいという生徒に本物を見せてあげたいのでね・・じゃあ、最初は・・アル・レリオン、君から行こうか」
予想外の展開に驚きを隠せない。
最初に目が合ったのはこういうことかとすぐに納得する。
基礎魔法学の授業は、最初にアルカナ魔法を使ってから3週間経過している。
このタイミングで呼ばれるということは、機は熟したということだ。
何の?と思ったが口には出せない。
それよりも自分以外にも古代魔法を使える初等科の人がいるのにも驚きだ。
「今日は使うと思ってなかったんで、準備できてないんですよ。だから今回は見送りということで」
ダージリンは首を横に振り、寮の自室に帰って取りに行けと命じる。
拒否権はなさそうだ。
すぐに部屋へと戻りカードを引き、絶望する。
今回引いたカードは、〈恋愛〉。
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