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よりによってというカードが手元に来てしまった。
このまま戻るという選択肢よりも先に、授業をさぼるという選択肢が頭に浮かぶ。
アルは教室の方向とは逆方向へと向かう。
しかし、部屋を出てすぐの曲がり角で、ダージリンが待ち構えていた。
ニコッと笑うその表情により、背筋に悪寒が走り、思わず後退る。
こんなにも恐ろしいと思った笑顔を見たことがない。
「さて、アル・レリオン、道に迷ってしまったのかな?それもそうだろう、初めての授業だものな。今回は寛大な心で許してあげよう・・でも次は退学も考えようかな」
肩に置かれる手、肌で感じ取れるほどのプレッシャー、もう2度と同じ過ちをしないと心に誓うアルなのであった。
ダージリンに連れられ、教室へと戻り、皆の前へと立たされる。
こういったシチュエーションは初めてなので緊張してしまう。
緊張する理由はもう1つあるのだが・・
「学園長、もし不測の事態が起こったとして、どうにかしてくれるんですよね?」
「そんなの当たり前じゃないか。私を信じなさい」
アルは、その言葉を信じ、アルカナを展開していく。
〈恋愛〉
異性を惑わし、魅了する。
魅了された相手は、魅了した相手に絶対服従してしまう。
「魅了の眼(チャームアイ)」
教室にいる女性は14人。
全員がアルに注目していたため、全員に呪いがかかってしまう。
呪いにかけられた女生徒は、立ち上がりアルの元へと集結する。
皆、表情がだらしなく目が虚ろである。
ここでアルが少し調子に乗る。
皆に服を脱ぐようにと命じたのだ。
女生徒は一斉に服を脱ぎ始め、男子たちがおぉという歓声と共に身を乗り出す。
「アル・レリオン、それ以上は君の学園生活が懸かっているということを忘れるなよ?」
何故かダージリンは魅了されていなかったので、アルに釘を刺した。
アルはすぐに命令を中断し、魔法を解く。
女子たちには魅了されていた間の記憶は残らない。
なので自分が置かれてる状況に皆理解できていないようだった。
しかし、自分たちの服が脱げている状態を確認したところで、全員がアルに敵意に満ちた視線を送り込んできていた。
魔法を使ったのはアルだけなので、犯人は必然的にアルになるのだ。
ダージリンが仲裁に入り、事なきを得たが、女性を敵に回してしまったのは間違いない。
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