暴走

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アルは汚名挽回するべく、〈恋愛〉のある能力に皆に披露する。 何故か皆、目を合わせようとしてくれなくなってしまった。 全て自分が招いてしまったことなので、どうすることも出来ないが・・ 「アルカナ展開、〈恋愛〉!性転(トランセクシャル)」 アルの体が発光し、すぐに消える。 アルを見ていた女子たちの目が点になる。 先程までアルのいた場所に見知らぬ女子生徒が立っているのだ。 背はアルと同じくらいで胸は割と大きめ、スタイルもよく、そして美人である。 「皆さん、どうですか?これでセクハラだけじゃないってことが証明できたでしょうか?」 1人の女子生徒が、アル・レリオンなの?と質問する。 アルは頷き、制服が自分の者であると、生徒手帳を取り出し証明する。 感嘆の声と、若干の悲鳴が聞こえた。 男子からは胸を触っても許されるよなというセクハラまがいの声も聞こえた。 アルは身の危険を感じ取り、すぐに男へと戻る。 性転換する魔法はかなり貴重なものらしく、ダージリンも食いついている。 最後にそれで悪さをしないようにと釘を刺されたのは言うまでもない。 アルの番が終わり、アルカナ魔法の説明をざっくりとダージリンが行い、次の生徒の出番が回ってくる。 「レオ・イグニット、次は君だ。君の魔法を見せてくれ」 レオと呼ばれた生徒が教壇に立ち、手を横に突き出す。 すると手の平に剣の柄が現れ、床に剣が突き刺さる。 「俺の魔法は武器を自由自在に発現することだ。別に手を横に突き出す必要もない、振りかぶってる時に出ろと念じれば、剣が勝手に出てくる感じだ。これだけだ、もういいか?」 ダージリンが戻れと言い、レオの魔法について説明する。 レオの魔法は換装魔法という古代魔法である。 他にも換装魔法を使う魔導士がいる中で、何故レオの魔法は古代魔法なのか? 説明する前に補足をしよう。 古代魔法にはもう1つ種類があり、それを古代神話魔法という。 北欧神話やギリシャ神話などに登場する神の力を身体に宿し、戦う古代魔法の中でも上位の強さを誇るといわれている。 レオの魔法は古代神話魔法に属され、神々の武器を全て扱えるという。 結果、アルより余程強そうな印象を皆に与えたのであった。 「お手本ような魔法だったな。次はクロウ・クォルガナ。前に来てくれ」 少し気だるそうにクロウと呼ばれた生徒が前に出る。 そして教壇に立つと直ぐに、両腕を前に出し、手の平を上に向ける。 すると手の平に7色球体が2つ現れた。 そしてその2つをゆっくりと合わせていく。 絵具を全部混ぜると汚い色になるのを想像していただければ、大丈夫です。 汚い色の球体が1つ出来上がり、更にそれを圧縮し、小さくしていく。 それを見たダージリンは立ち上がり、クロウの行動を制止する。 「もういい、それ以上は口頭で説明するから、それを消しなさい」 クロウは首を振り、悪戯っ子のように無邪気に笑って見せる。 「学園のトップなら止めて見せて下さいよ。超爆星(スーパーノヴァ)」 球体が光を放ち、徐々に赤くなっていく。 ダージリンがすぐさま、クロウの前に立ち、球体を直で触り左に捻じる。 すると球体は徐々に2つへと別れていき、完全に分離する。 更に手を捻るとクロウの元へと魔法が帰って行く。 そして最後には何もなくなってしまった。
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