双子と夏休み

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「くじ引きで全く同じ水鉄砲当たったか……」 響はピタッと言い当て、心もコクりと頷く。 「あら~……」 くじ引き屋の店主はおめでとうと言い、風呂場で使ってたあの巨大水鉄砲を渡して来ては心も苦笑いしながら受け取った。 「なんてこった……1100円もしたのに。残ったバイト代で弾んだのに」 例えるなら苦労してゴールドを貯めて買った武器がすぐ後のダンジョンで簡単に拾えてしまったような、そんな消失感を味わっている心。 「響、持ってて」 自分が持っているのでは大きすぎるからと響に荷物持ちさせる。 「手にすると実際でかいなぁ……これ」 持ちやすいよう背中にかける紐があったはいいが、重心が背中に来たか響の背丈より頭一個分突き出ている。 「でもさ、凄くない!?」 「2リットル分の水が入る超タンク&飛距離最大20mに惹かれたんだろ? 確かに凄いけどさ、高校生で使うにはどうな」 「次、焼きそば買おうよ!」 水鉄砲の苦難も何処へ、焼きそばの屋台までもう駆け寄っていた心。 「切り替え早いな……お前」 「まぁ。いいか、屋台の焼きそばって本当に美味いし、一つでいい?」 「うん。まだまだ食べたいものあるし」 150円を二人分で分けて一つの焼きそばを買うと響は何も言われずとも焼きそばに乗っている紅しょうが取った。 「紅しょうがも悪くないのに」 一つの焼きそばを二人ですすっては、あっという間に食べ尽くしてしまう。 「やっぱり屋台の焼きそば最高だった……他になに食べようかな」 「あと、たこ焼きもいいなぁ。綿菓子に、リンゴ飴も食べたいし」 「かき氷は?」 「いーや、たくさん食べたし」 「だよな」 「ここらじゃ盆踊りとかないんだね」 「まぁ、場所が限られるしな」 こう言う駅前のお祭りは食べ物屋が中心で、的屋とか輪投げとかお遊び的な屋台は非常に控えめだ。 「百発七十中くらいのホークアイと呼ばれた私の狙撃の腕を射的で見せられないのが残念でならない」 寧ろそう言うお遊びが楽しみだった心は少し残念そうだったが、今は食べるだけ食べて満足していた。
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