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が、その直後に響は背中に心をのせていた分か下駄が古くなっていたせいか下駄の鼻緒が切れてしまい激しく転ぶ。
「最悪……本当に響って最後までカッコつかないよね」
心を上にしたまま、響はよろりと立ち上がるが鼻緒の再生は不可能と来た。
「面目ない……」
パックリと切れた下駄の鼻緒を見ては申し訳なさそうに謝る。
「ま、でも。今だって私が傷つかないように庇ってくれたし、本当にお人好しって言うか」
笑いながら、心も下駄を放っては裸足で地面に立った。
「帰ろ。地面がヒンヤリしててちょうどいい」
「あぁ」
二人、裸足でなんの不自由なくコンクリートの上を歩く。日中なら大惨事であったろうが、既に陽が沈んだ今となっては大分冷えていた。
「こうしてると田舎思い出すね。裸足で山奥まで虫取りに行ったり」
「心が高いとこまで登って降りられなくなったりした奴な」
「今すぐ忘れて」
「無理~」
「響!」
だからコンクリートを走ったりしても二人の足の裏は非常に堅い。
「ま、夏休み近いうちに帰ろうな」
電車でも大分かかるくらい遠くの田舎に両親二人残している。そろそろ顔を見せたい時期だと、思いつつあった。
「うん。それと帰ったらまたシャワーしないとね、汗びっしょりになっちゃった」
「そうだな」
「今日は響が先でいいよ」
「いいのか?」
「たまには花を持たさないとね」
「コイツ」
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