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日本のとある都市、恋ヶ咲町。
さんさんと輝く太陽の下で照り返されるような暑さにも関わらず、執拗に蝉の鳴く季節。
暑さが本番に差し掛かる時期だ。
そんな街中の、平屋建てのちょっとした屋敷とも言うべき和風の家、そしてクーラーの類いはない和室の部屋。
「あ~づ………」
縁側にぶら下げた風鈴をジーっと眺めながらぐったりとだらしなく倒れているかのように寝転がりタンバリンを鳴らす赤髪の少女。
「ジングルベールジングルベール」
半袖にショートパンツとラフな格好で汗びっしょりになりながらも、快活そうな雰囲気は残った少女。
和室の中央のちゃぶ台には『高校一年生の夏休みの課題』と書かれた冊子が乱雑に放置されプラプラと縁側から素足を出してはばたつかせタンバリンを鳴らす。
「鈴がなるー鈴のーリズムにー光の輪がまーうーヘイッ!」
勢いよくタンバリンを振り上げては我に返ったように静まり返る。
「ダメだ……冬に思いを馳せても全然涼しくないし」
タンバリンを押し入れに向けて放り投げる。
「ただいま」
襖を開けて入ってきたのは、赤いショートヘアに半袖に半ズボンと服装こそ男物であるが、顔つきや体格は全く一緒の赤髪の少年。
「あ……響か、ビックリした。暑さで私がもう一人いるのかと」
赤髪の少年こと響は買い物鞄を置き、ちゃぶ台を見てやっぱりかと溜め息をつきながら少女の隣に座る。
「なに言ってるんだよ。心、大丈夫か? 双子だから当然だろ」
「ですよねー……お兄ちゃんっと! 」
心は茶化すような口調で呼び、後ろ側へ手も使わずバック宙返りして和室の方へ転がりこんできた。
「コンビニ行って氷買ってきたの?」
「そうそう」
響は買い物鞄から、真空パックに入った業務用の氷パックを取り出した。
「じゃじゃーん、氷買ってきたよ」
「おぉ! でかした! 思ったより大きい!」
「家の冷蔵庫、小さいから。今冷凍庫のあるのじゃ足りないと思ってさ」
そう言って響は台所の流し台の下を開ける。
「昨日私が物置からかき氷機見つけたんだんだよね」
「俺が今朝の内に綺麗に洗っておいたし動作確認もしたから問題はない」
古いタイプのペンギン型で、手動で頭のハンドルを回しお腹から、かき氷を吐き出すところになっている。
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