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それから、適度に上がっては低体温にならないよう身体を温めては再び入ったり水分補給を繰り返しながら、水浴びを楽しむ。
だが1時間もすると、次第に体温とこの気温で湯が温くなってしまう。
「もうちょっと楽しんでいたかったんだけど」
「これ以上は風邪引くからちょうどいいよ」
二人は交代交代で着替えてから風呂場を出た。
「このあと、なーんか面白いことないかな」
「宿題」
「……」
一瞬、二人は顔を見合わせ押し黙り。
「このあと、なーんか面白いことないかな」
「聞かなかったことにしやがった」
「あ~……そう言えば、今日駅前でお祭りやるって貼り紙あったよ」
「お祭り行く!」
「浴衣どこしまったっけかな」
普段使わない衣類は基本押し入れの中にある。それは分かっているが、準備に手間取ればせっかく涼んだのが台無しになってしまう。
「押し入れじゃなくてクローゼットじゃない?」
「あー……そんな気がする」
「けどやっぱり屋根裏」
「あー……」
「床下」
「やめろ! もう、惑わすなよ! 言われるとそんな気しかしてこなくなるんだよ」
「はいはい。じゃあ私は洋室のクローゼット探してくるよ」
そう言ってお互いに部屋を捜索すること10分。
洋室は基本、物置感覚で季節外れの服やあまり使わない季節物、二人の玩具だの漫画本だのが置かれたりしている。
「あったあった。これだ」
思いの外、心は真空ビニールに入っているのを早く見つけられた。
「お。あったか」
心がなにも言わずとも響がクローゼットのある洋室までやって来た。
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