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ヤンフス大陸を、北を上にして地図を描くと、ベルム山脈はちょうどアルファベットの”C”の形になる。
今コンボイが越えようとしているのは、その東側。Cの字の下の先端だ。
あたりの山々はすべて標高3,000メートル級。今いるところはまさに、夏でも頂に雪をかぶる高さ。
だがベルム山脈では、これでも低い部類に入る。
山脈の西側には一級山頂西1番という、標高9,787メートルの惑星スイッチア最大の山がある。
チェ連ではこの山脈を要塞化することで、幾多の異形の者たちに立ち向かってきた。
そのために掘られた長大なトンネルの一つに、コンボイは入った。
「あの、電気、付けてもらえる? 」
暗くなった車内で、達美がたのんだ。
「はい! 」
答えたのは、金色の髪を持つ少年兵だった。
シエロ・エピコス。
その精悍な顔立ちと、透き通るような青い目。
ヴラフォス・エピコス中将から受け継いだものだ。
重要人物、この世界へ召喚された者たちの乗る車両は、コンボイの中ほどにある。
1台に護衛の兵士は二人。
ともに車両後部のドアのそばに座っている。
護衛者たちにとって、この重要人物たちは謎の存在だ。
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