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そしてカーゴ教授の対応は、兵士たちにとって当たり前のことだ。
国民は、国を守るために政府にあらゆる協力を惜しんではならないとされている。
教授の説明は続く。
『各地からの報告によりますと、スイッチアの空を覆っていた成層圏エーロゾルは、完全に消え去っているとのことです!
また、ペースト星人による火山活動も、完全に収束しました』
カーゴ教授は、その後、言葉を詰まらせた。
無理もない、と師団長は思った。
自分たちの星から戦乱を取り除いた者達。
彼らから与えられた情報が、あまりに複雑で、怪奇だからだ。
彼らは、自分たちは地球からスイッチアに召喚されたという、人間と同じ姿をしながら人にあらざる能力を使う、異能力者達だった。
かれらは魔術学園高等部の生徒会を名乗った。
『現在の空に、偽装や新たな化学物質の影響はありません。
本物の青空であると断言できます。
これは、女神ボルケーナによる、特定の元素を異世界に送り込む能力と、火山をコントロールする能力を、裏付けるものだと考えます』
女神ボルケーナは、魔術学園生徒会の一人の、後見人に当たる。
エピコス達には、それがどんな姿を持っているか、なぜ女神と呼ばれているかは知らなかった。
安全だと言われてもエピコスには、この急激な変化を敵からの攻撃だと言われた方が、しっくりくるような気がした。
「ちなみに教授、空が青いのは何故ですか? また、夕日や朝日が赤い理屈は?」
エピコスからの、とっさに出た質問に対し、教授も周囲も一瞬沈黙する。
エピコス自身、これはバカなことを聴いたかもしれないと思った。
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