第1夜

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「あほらしい…」 せっかくのお昼休みなのに、こんなにイライラしなきゃいけないなんて。 まったくもって阿呆らしいの他、何も言葉が出てこない。 チーム会議に呼ばれて、ただでさえ面倒くさいのに、散々企画も潰されて。 いつもならこれから幸せになる2人のサポートをしているはずなのに。 会議室に篭もったままいたくなくて、つい休憩スペースまで逃げてきてしまった。 本社に入ってから痛いほど視線を感じる。 男女構わず多くの人の視線を。 あの独特なじっとりと刺さるような視線を。 みんなが言いたいことは1つだけでしょう? 息を潜めたかのような小さな声が嫌でも耳に障る。 言いたいことがあるなら面と向かって言えばいいのよ。 何時までも学生みたいに裏でひそひそしている場合じゃないでしょう? 私達はもう社会人なのだから。 他にやる事ないの?仕事すれば?と悪態を吐きたくなるのも許してほしい。 誰も周りにいない事を確認した後、怒りに任せてブラックのボタンを押した。 ガツンとボタンが指を弾く。 何も考えずにいつも通りに選んだはずだった。 それが習慣 …いや、クセだった。
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