お得意さま

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電話を終えて調査の続きに取りかかる。 その後は資料の作成と、役所に出掛けなければならない。 その間にも郵便物を開封して、宅急便の荷物を受け取って、電話に応対する。 先生の留守を預かる間、私は出来るだけ効率よく回転しなければならないのだ。 そんな風にしていると、時間はあっという間に過ぎてしまう。 ふと、時計を振り返って時間を確認した四時過ぎ、坂上先生が事務所に戻って来た。 「お疲れさまです」 コーヒーを入れようと立ち上がった私に、坂上先生は「すぐに出るから」と言いながら、手元では彼が留守の間に私が作成した資料を確認している。 直しがある場合は直ちに修正しなければならないので、私はパソコンでデーターを開いて待機した。 「ありがとう。よくできてるよ。約束の時間には戻るから。行ってくるよ」 先生は関係資料を鞄に詰め込んで慌ただしく事務所を出て行った。
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