運命の人

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店の裏は廃棄物置き場になっていて、分別されたゴミと畳まれた段ボールなどが綺麗に整頓されている。 「あ……」 彼も小さな声を漏らし、私と同じ反応を示した。 「……こんばんは」 反射的なものなのか、とりあえず最初は挨拶が飛び出してくる。 すると、彼も「こんばんは」と、軽く会釈をした。 そして、手にしていた段ボールを手早く折り畳んで所定の場所に置くと、彼は私を振り返った。 「今日は遅いんですね?」 「……え?」 「あ、いや。いつもはもっと早いですよね?」 「あ、はい、そうですけど……。どうして……」 私はドアの隙間から漏れる店内の明かりを頼りに彼の顔を見つめた。
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