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翌朝――。
起きた瞬間息が止まりそうだった。
起きる予定時刻を30分もオーバーしていた。
ベッドから飛び起きて、最優先にするのはもちろんメイク。
悠長に朝ごはんを食べている場合ではない。
とにかく出掛ける準備を整えると、いつもはヘアアイロンで巻く髪もそのままに、寝癖を誤魔化すために一つにまとめた。
必死になれば何でもできる、とでも言うのか、意外にも部屋を出たのはいつもより早い時間だった。
私はいつもの通勤経路を辿りながら、安堵のため息とともに頭にはある考えが浮かんだ。
朝食はお米と決めているが、寝坊が一転、いつもの出社時間までに余裕ができたのでパン屋に寄ろうと思ったのだ。
何より腹が減っては戦は出来ぬ。
朝食を抜くなんて考えられなかった。
パン屋は朝も早くから七時半にはオープンしている。
私は急いでいた歩調をさらに早めて店に向かった。
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