運命の人

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「おはよう……ございます」 私は少し驚いた。 彼にレジ打ちをしてもらうのは初めてだったからだ。 「朝から来て下さるなんて、珍しいですね?」 先程の宮田さんと同じ質問をされ、私は苦笑いを返しながら 「店長さんこそ……この距離で顔を合わせるのは珍しいですよね?」 と、反対に質問を投げかけた。 「そうですね。いつもあっちでこねてるか、焼いてるかですから」 彼は調理場をちらりと見ながら笑った。 私は彼の笑顔を間近で見ながら再び顔を伏せた。 彼とはいつもフロアと調理場で顔を合わせるだけで、つい昨日、近場で顔を合わせた時には薄暗かったのでたいして気にもならなかったのだ。
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