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「土日は平日よりもたくさん作らなきゃいけないので、三時頃から準備してますよ」
「……三時!?」
私は小銭を握りしめたまま大きな声を出してしまった。
「そんなの、身体壊すと思いません?三時って、まだ暗いんですよ?」
橋本さんが少し口調を強めて口を挟んだ。
しかし、私は早朝三時に起きることなど全くないので、何の返答も出来なかった。
ただ私は考え込んでしまった。
彼はそんな時間から準備を始めているにも関わらず、夕べはあんな時間にまだ店にいた。
それどころか、毎日私の帰宅する姿を店内から見送っているのなら、私よりも相当な時間働いているはずだ。
それなのに、夕べ顔を合わせた時、彼はそんな雰囲気など微塵も感じさせなかった。
それに、その時間に店にいるのなら、起きる時刻はもっと早い。
むしろ、まともな睡眠時間などあるのだろうか。
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