運命の人

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私は彼の手元にあるたまごサンドの入った袋を見つめて急に恥ずかしくなった。 今朝ここに立ち寄った理由を伏せておいて正解だった。 「すみません、これ……」 私は俯いたまま彼に代金を支払い、お釣りをもらった。 手のひらに触れた彼の指先は意外にも少し冷たかった。 私が財布にお釣りを入れ終わると、彼がパンの入った袋を差し出してくれた。 「……心していただきます」 私が思わず心の声をこぼすと、彼は小さく首を傾げていた。
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