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けれど、調子が悪いわけではないが、いささか調子が狂っているのは事実かもしれない。
だいたい、元はと言えば、寝坊したことが悪かったのだ。
もともと寝坊なんて滅多にしないのに、今日に限ってどうしてしまったのだろう。
変な夢でも見たのだろうか。
私はそこで黙り込んだ。
そして、ゆっくりと首を捻る。
思い出せないが、何か夢を見ていたような気がするのだ。
けれど、結局思い出すことは出来なかった。
「霧島君、大丈夫か?」
「……はい。大丈夫です」
先生が心配そうに私の顔色を窺うので、私は笑顔をつくって返事をした。
「コーヒー、淹れますね」
私はたまごサンドの最後の一口を口に入れると、先生に背を向けて流しに立った。
エスプレッソマシンにコーヒーのカプセルをセットすると、いつものペースを取り戻そうと、深い深呼吸を一つした。
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