運命の人

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「今日はご依頼人の山口様のご自宅です」 「そろそろ出ないとまずいかな? あの辺り、いつも渋滞するんだよ」 先生は腕時計を見て私の意見を窺った。 「そうですね。出られた方がいいかもしれません」 「じゃあ、行くとするか」 先生はコーヒーを急いですすって立ち上がった。 「帰りに弁護士会に寄って来るよ」 「弁護士会なら私が行きましょうか?書類をいただいてくるだけですよね?」 「まあね。でも、いつも霧島くんに行ってもらってるから、たまには顔を出さないとそろそろ嫌味を言われる頃だから」 先生は肩をすくめて笑った。 「わかりました。午後は法廷が終わったら三時半からこちらで離婚相談です」 「ん、わかってる」
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