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「そりゃ大変だ。じゃあ、事務所まで一緒に行こうか」
「……すみません」
結局、私は坂上先生と一緒にタクシーで事務所に戻ることになった。
事務所に到着すると、私は一人でタクシーを降りた。
当然、私も事務所の鍵はいつも持ち歩いている。
「わざわざすみませんでした。スマホ取って、すぐに帰ります」
「このまま待ってるから送っていくよ」
「いえ、歩いて少し醒ましたいですし」
私は少し火照った顔を手のひらであおいで言った。
「そうか。じゃあ、気を付けて。今日もお疲れさん」
先生は座席から私に声を掛けると小さく手をあげた。
私が会釈をするとドアが閉まり、タクシーはウィンカーを点滅させながら車の列に紛れていった。
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