341人が本棚に入れています
本棚に追加
私はタクシーが見えなくなるのを見届けると、身体の向きを変えてビルの階段を上がった。
酔っているせいか足が重い。
一人になった私は気が抜けたのか、階段を上り切るまでに大きなあくびを二回もしていた。
事務所に入ると、真っ先にセキュリティを解除する。
その後、電気をつけてスマホを探すと、予想通り電話機の横に置きっぱなしになっていた。
「あった、あった」
スマホを手に取り、画面をタップして着信とメールの確認をするが、用件はゼロ。
どこか寂しくなりながら、私はスマホをバッグに仕舞い事務所を施錠してビルを出た。
最初のコメントを投稿しよう!