常連客

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帰り道、私は彼の返事を受けて、彼にどんなパンを買おうか頭の中で考えあぐねていた。 坂上先生はいつも出先で食べてしまうので、先生にパンを選ぶことはほとんどない。 私は彼氏なしの一人暮らしで、すなわち、男性の好みなど全くわからなかったのだ。 結局考え途中で店に到着することになってしまった。 「いらっしゃませ」 「こんにちは」 入ってすぐにレジにいるスタッフに挨拶するのが日課になっている。 レジは手慣れた宮田さんと橋本さんが二人で対応していた。 店内はいつも私が来店する時間とは違い、お昼のピーク時で客足も多い。 制服を着た会社員やOL、親子連れや主婦たちがトレイいっぱいにパンを並べて列をつくっていた。
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