常連客

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「あ、そっか……」 確かに彼女の言うとおりだった。 1つでは物足りないし、3つでは食べ過ぎになるのでいつも2つにしているのだ。 しかし、そのことを彼女が覚えていてくれているとは思わなかった。 一日にこの店にやってくるお客さんの数は相当な人数だろうから。 私はそんな彼女にいつもよりさらに親しみを持ち、今の状況を白状することにした。 「私はいつも通りこの2つなんです。今日は別の従業員の分も選んでたんですけど、他人のものとなると、悩んじゃって……」 「もう一人って、霧島さんの上司の方?」 「いえ、実は今日から男性がもう一人一緒に働くことになったんです」 「そうなんですか」 「はい。なので男性におすすめのパンを教えていただけますか?」
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