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私が尋ねると、彼女は「男性ですか……」と、商品棚を見回した後、私に答えるのかと思いきや、身体をひねって顔を調理場へ向けた。
そして、思わぬ人に声をかけたのだ。
「店長!」
彼女を制止しようと思ったが、間に合わなかった。
彼は返事の代わりに眉を上げて彼女に「何?」と、問いかけた。
彼女に向けられた視線が少しずれて私と目が合うと、彼が会釈をしてくれので、私も返す。
そうする間に彼女は再び口を開いた。
「霧島さんがおすすめのパンを教えて欲しいそうですよ?」
彼女のセリフに私の鼓動が少し乱れて焦りだす。
「橋本さん! 店長さんお忙しいのに、そんなことでお呼びしなくても……」
「だって、男性へのおすすめでしょ? 男性に聞くのが一番だと思って」
彼女は私への親切心で、屈託のない笑顔を見せた。
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