理想の男

3/34
前へ
/34ページ
次へ
「お疲れさまです」 彼は受話器を置きながら立ち上がった。 「お疲れさまです。相談のお電話ですか?」 「はい。相続の相談です。最近はテレビでも取り上げられるようになってきたし、一般の人の関心も高まってますからね」 「テレビはちょっと大袈裟なところもありますけど、場合によってはそうだとも言えない部分もありますもんね」 実際に相談にのっていると、テレビの事例のような、もしくはそれ以上に驚く事実が出てくることがある。 テレビドラマさながらの相続問題などざらにあるのだ。 「そうですね」 彼も思い当たる節があるのか真面目に頷いた。 不思議なことに、先程の緊張を忘れてしまうほど彼と普通に会話をしていた。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

409人が本棚に入れています
本棚に追加